なぜゲップは起こる?
ゲップは、胃や食道の空気が口の方へ逆流する現象です。一般的に、食事と一緒に飲み込んだ空気が溜まったときや、炭酸飲料を飲んだ後などにゲップが出やすくなります。
胃から出るゲップ
飲み込んだ空気が胃に溜まると、胃の上部(胃底部)が広がり、胃と食道の間をつなぐ下部食道括約筋が開きます。
この際に、空気が胃から食道に上がります。さらに食道が膨れて上部食道括約筋も開き、ゲップとして排出されることになります。
食道から出るゲップ
横隔膜が変則的に動くことで、下部食道括約筋が閉じたまま上部食道括約筋が開きます。
この状態で食道に空気が入り、胃には入らずにそのまま食道からゲップとして出されるのです。
ゲップがよく出るのは危険?
ゲップは生理的な現象であり、誰にでも起こりますが、頻繁に出る場合は病気の可能性も考えられます。代表的な疾患として、機能性ディスペプシアと逆流性食道炎が挙げられます。
機能性ディスペプシア
胃の働きが低下することによって、胃痛や胃もたれ、腹部膨満感などの症状を引き起こす疾患です。
ゲップも症状の一つとしてよく見られ、ゲップが頻繁に起こる人ほど、この疾患の頻度も高くなるという相関があります。
検査をしても炎症や潰瘍などの異常は見つからないため、「機能性」という名前がついています。
逆流性食道炎
胃の内容物が食道に逆流することで、食道に炎症が起こる疾患です。
ゲップが出やすくなりますが、逆流によるゲップに自覚がない場合もあります。
胃酸が食道に逆流するため、胃酸によって食道の炎症が起きやすく、胸焼けなどの症状も見られます。
睡眠不足やストレスでゲップが出る?
ゲップの頻度が多い人は、不安やうつ、睡眠障害のレベルも高いことがわかっています。原因は完全には理解されていませんが、機能性ディスペプシアや逆流性食道炎を含む機能性消化管疾患を持つ人は、外部からの刺激に過敏に反応し、不安やうつと併発しやすいことが知られています。これらの疾患では、脳と消化管が相互に影響し合っていることも理解されており、これも一因と考えられています。
また、熟睡しているときにゲップは起こりませんので、中途覚醒しやすい睡眠の浅い人がゲップをすることで、さらに中途覚醒を引き起こすという悪循環に陥る可能性があります。
さらに、「空気嚥下症(呑気症:どんきしょう)」という病気もあります。この病気では、無意識のうちに大量の空気を飲み込み、それがゲップや腹部膨満感などの不快感として現れます。これは胃や食道の疾患ではなく、精神的なストレスが影響して空気を飲み込んでいる場合が多いようです。
ゲップの臭い
ゲップの臭いが便やおならのにおいに似ている場合、腸の動きが悪くなっていたり、便秘が原因の可能性が考えられます。
逆流性食道炎は、胃酸が逆流する疾患であり、胃酸とともに胃の中の空気も逆流してゲップが出ることがあります。ゲップが胃酸臭かったり、同時に胸焼けがする場合などは逆流性食道炎の可能性が高いと言えるでしょう。
胃がんの初期症状でゲップが出る?
胃がんの初期症状の一つしてもゲップがあります。しかし、ゲップ自体すべてが胃がんの初期症状というわけではありません。一般的に胃がんの初期症状として見られるゲップには、ゲップの回数が多い(特に食後など胃に負担のかかるときにゲップが多い)、異臭のあるゲップ(胃液や遺産など胃の逆流が疑われる臭いがあるゲップ)、ゲップとともに胸焼けが見られるといった特徴があります。心配なことがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
ゲップがよく出るとき・止まらないときの検査
胃カメラ検査
胃カメラ検査は、食道、胃、十二指腸の疾患が疑われる場合に行われる検査です。上部消化管の粘膜の状態をリアルタイムに観察し、炎症や潰瘍、がんなどの病変を発見するだけでなく、疑わしい組織を採取して病理検査による確定診断に結び付けたり、出血があれば止血処置を行ったり、アニサキスを駆除するなど、診断から治療まで幅広く対応可能な有効な検査です。不安や緊張を抱える方には、鎮静剤を使用してウトウトと眠っているような状態で検査を受けることも可能ですので、お気軽にご相談ください。
大腸カメラ検査
おならに伴う周期的な腹痛や左右の脇腹の鈍い痛みがある場合、大腸カメラ検査が有効です。直腸から小腸との結合部や盲腸まで、大腸全体の粘膜の様子をリアルタイムに観察でき、疑わしい組織はサンプルを採取して病理検査による確定診断に結び付けることができます。出血があれば止血処置を行ったり、前がん病変である大腸ポリープを発見したらその場で切除することも可能です。つまり、大腸カメラ検査は1回の検査で診断から治療、予防まで可能な便利な検査です。ただし、腸に負担をかけるため、患者の苦痛の度合いは医師の技量によって異なります。当院では、内視鏡専門医・指導医の資格を持つ経験豊富な医師が、最新の内視鏡システムを使って、丁寧かつ迅速かつ正確な検査を行い、負担を軽減しています。不安を感じる方には、鎮静剤を使用してウトウトと眠っているような状態で検査を受けることも可能ですので、お気軽にご相談ください。
レントゲン検査
腹痛が激しくおならや便が出ないといった状況の場合、腸閉塞が起こっていないかどうかを確認するためにレントゲン検査が行われます。腹部を撮影し、お腹のガスの状態などを観察します。