食道裂孔ヘルニア

食道裂肛ヘルニアとは

食べ物は胸腔内の食道を通って腹腔内の胃に移動します。胸腔と腹腔は横隔膜と呼ばれる筋肉で仕切られており、食道や血管は横隔膜の裂孔を通じて胸腔と腹腔を行き来します。食道ヘルニアとは、横隔膜の下にある胃の一部が横隔膜の上に押し出される状態を指します。

食道裂肛ヘルニアの原因

食道裂孔ヘルニアの原因は、加齢や生まれつき食道裂肛の形状や位置に異常があるといった先天的な異常、逆流性食道炎、腹腔圧が高まることが挙げられます。逆流性食道炎に関しては、長期間にわたる胃酸の逆流により食道組織が損傷し、弱くなることで食道裂孔ヘルニアのリスクが高まるとされています。

食道裂肛ヘルニアを発症する年齢

食道裂肛ヘルニアは、年齢に関係なく発生する可能性がありますが、一般的には中高年以上の年齢層でより見られる傾向にあります。

食道裂肛ヘルニアの症状

など

食道裂肛ヘルニアの検査(診断)

胃バリウム検査

バリウムと呼ばれる造影剤を飲んで、食道や胃の形状や動きをX線撮影します。これにより、食道裂孔ヘルニアの有無やその程度を確認することができます。

胃カメラ

内視鏡を使用して食道と胃の内部を観察します。この検査により、食道裂孔ヘルニアの程度や食道粘膜の状態を確認することができます。

胃カメラ

食道pHモニタリング

食道内の酸性度を測定するために、食道に細いチューブを挿入します。これにより、食道裂孔ヘルニアによる胃酸の逆流の程度を評価することができます。当院では対応していませんので、必要な場合には連携する医療機関をご紹介いたします。

胸部X線やCT検査

食道裂孔ヘルニアの合併症や他の病態を評価するために、胸部X線撮影やCT検査が行われることもあります。CT検査が必要な場合には連携する医療機関をご紹介いたします。

食道裂肛ヘルニアの治療

生活指導や内服治療

症状がある場合は、逆流性食道炎に基づいた生活指導や内服治療を行います。医師の指示に従い、適切な治療を受けることが重要です。

手術

症状が強い場合は、胃が胸の方に押し出されないようにする手術が選択される場合があります。手術が必要な場合には連携する医療機関をご紹介いたします。

自身でできる対策

ご自身ができる対策として、以下の点に留意すると良いでしょう。

  • 食事を腹八分目に抑える。
  • 過度な脂質摂取を避ける。
  • 食後にすぐに横にならず、寝るときは頭を高くして寝る。
  • 肥満の場合はダイエットを検討する。
  • おなかをベルトで締め付けず、妊娠中の場合はおなかに圧力をかけないような姿勢を心掛ける。

食道裂肛ヘルニアで朝方の起床時に調子が悪くなる方へ

症状が横になることで悪化する場合には、左側を下にして横になること、夕食後就寝までの時間を確保することを推奨します。左側を下にする理由としては、左側を下にして寝ることで胃の上部の位置が上がり、逆流のリスクが減ることがあります。